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『スの者』による雑記ログ

内輪向けの話・マイクロマウスとAIの話(WMMC Advent Calendar 2020)

はじめに

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 ハッピーホリデー(ポリコレ意識).はじめまして,スのもの,あるいは Mr. ス と申します.特に名前は定まっていませんが,後者の方が呼びやすいかもしれません.

 こちらの4コママンガはアイスブレイキング・クソ4コマです.これによって「どこの馬の骨だコイツ」という懐疑心はすっかり氷解されたはずです.氷解されなくても,追って『内輪向けの話』で自己紹介します.

 今回, WMMC Advent Calendar 2020 - Adventar に合わせて記事を書きました.カレンダーの参加者が決定した後,ここまでの記事を読んできて「自分も書こう」と思い立ったので,主催者のジャッジー君に無理をお願いして,番外編的な扱いで急遽参加させてもらいました.彼に感謝申し上げます.

 ここでは『内輪向けの話』と『マイクロマウスとAIの話』について書きます.前者に興味がない場合は飛ばしていただいて構いません.

 

 

 

内輪向けの話

個人の話

 個人情報なので多くは言えませんが,私は現在B4の情報工学系専攻の者です.サークルのメンバーとしては,「同期の中では最初にサークルに加入したのに,ほとんど何もしていないヤツ」です.というのも,B1の4月にWMMCに加入しましたが,同時期にWMMCのお隣さん(活動場所的に)のサークルにも加入しており,B2の9月までは専らそちらにコミットしていました.そのため,こちらでの活動としては「新入生ライントレーサー大会」までしか参加できておらず,それ以来活動場所で顔を合わせる程度になっていました.

 この度,Advent Calender があるということで,「B1やB2もこのカレンダーに参加しているならば多少タメになるものをば」という気づきと,「これがWMMCにコミットできる最後のものになればこそ」という思いでポストしています.とはいえ,私はそのまま入院するので(大学院に進学することを「入院」と勝手に呼んでいます),今後2年間はキャンパスに出没するかもしれません.お会いすることがあれば,またよろしくお願いします.

 

サークルの話

 お隣さんのサークルはB2の9月で実質的に退会しており,それ以降はWMMCで活動することもできたのでしょうが,単純に学業面で忙しくなかなか時間が取れませんでした.いわゆる「幽霊部員」のような存在ですが,私はこの状態を「ステルスになっているだけだ」と呼んでいます.ちなみに,名前の『スのもの』や『Mr. ス』はステルスの意です.(某ステルスメジャーの影響も受けていますが.インヤー.)

 そういうわけで,このように何もしていないヤツではありますが,WMMCはそれをも受け入れてしまう器を持ったサークルであるということで,私にそっと居場所を提供してくれたのは助かっていたのかもしれないと感じています.なお,お隣さんのサークルに関しては,その活動のおかげでインターンシップの選考で有利になりました.B3のサマーインターンで大手ITベンダーに行ってきましたが,その選考の際にお隣さんのサークルでの活動を話したところ,特に渉外活動に関して,担当者が「金を取ってくることの苦労を知っている人間は叩けば伸びる」と考えて私の採用に至ったようです.

 

学業の話

 さて,後述の『マイクロマウスとAIの話』に関連することを少し述べます.私の専攻は情報工学であり,特に研究として扱っている分野は機械学習や深層学習です.平たく言えば「AI研究」となります.ここで,「そうは言っても,AIって何なの?」という部分について,マイクロマウスと絡めて次に書いていこうと思います.ただ,先述のことから察せられるでしょうが,マイクロマウスについてはさほど詳しくないのでご了承ください.正直なところ電子回路はサッパリですし,一方で,一部のWMMCメンバーの属する研究室でも「深層学習ばかりでウンザリ」というのを聞いているので戦々恐々の思いです.

 ところで,ここまで読んで「どこの馬の骨だコイツ」が残って気になるのであれば,お手数ですがWMMCのどなたかに聞いてください.仮にもWEB上にポストしているブログなので,自分から多くを公開することははばかられます.余談ですが,最初のクソ4コマは昨年Twitter(鍵アカ)に投稿したものです.今回,Advent Calender ということで丁度良いネタだと思い再掲しました.元ツイは鍵アカなので限定された方しかご覧になれませんが,自分の中ではバズっていました.この4コマはいかがだったでしょうか.

 

 

マイクロマウスとAIの話

AIそのものについて

 AI (Artificail Intelligence),人工知能という言葉を日常生活でよく触れるようになって久しいと思われますが,AIの定義をご存知でしょうか.Wikipedia人工知能のページ(参考:人工知能 - Wikipedia)から引用すると,

  • 「『計算(computation)』という概念と『コンピュータ(computer)』という道具を用いて『知能』を研究する計算機科学(computer science)の一分野」
  • 「言語の理解や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術」
  • 「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」

と記載されています(記事公開時点の情報).この記載からお気づきでしょうが,AIを ”一義的に” 定義するのは困難です(その点では,このWikipediaの記載においては「定義」ではなく「説明」と呼ぶのが良いかもしれません).

 ただし,皆さんの中には「AIらしさ」というものは存在すると思われます.Google翻訳,DeepL翻訳のような機械翻訳や,Amazon EchoGoogle HomeのようなスマートスピーカーはAIらしさが強いのではないでしょうか.一方で,「AI搭載テレビ」「AI搭載エアコン」,さらには「AI搭載シェーバー」と言われても,あまりAIらしさという点でピンと来ないように感じます(これは私見です).では,マイクロマウスはAIなのでしょうか? これについて考察してみます.

 

AIの具体例

 その考察に入る前に,AIの具体例を見てみます.最近私が目にしたものとしては,『ソフトバンクAI人材育成スカラーシップ』(参考:*1)では『情報工学情報科学統計学などの分野において、AI(人工知能)に関する学修・研究』という記載があります.ソフトバンクの解釈によれば,AIは情報工学だけではなく,情報科学統計学も含んでいると考えられます(この文では包含関係の描写が多少曖昧ですが,出願する学生に配られた書類では「AI分野」という言葉がそれらを含んでいました).

 他には,「PythonによるAIプログラミング入門」(参考:*2)という書籍の目次を見ると,様々な手法が記載されています.技術者御用達のいわゆる「オライリー本」なので,それらはAIとみてもよろしいと思われます(原著はPackt Publishingですが,こちらも多くの技術書を出版しています).したがって,その目次にある技術を利用すれば,それはAIと表現できるのかもしれないと考えられます.*3

 

「AIらしさ」の考察

 さて, 「マイクロマウスはAIであるか」についての私の解答としては,「AIであるとも言えるし,AIではないとも言える」です.そう述べる原因の最たるものは「AIの定義が曖昧である」ことですが,それでは説明不足なのでもう少し考察を深めます.おそらく,その解答を決めるのは「AIらしさ」という各個人が持つ機械への印象によるのではないかと感じています.

 では,AIらしさについて考えてみます.次の画像はこちらのNVIDIAの記事(2016年)から引用しています(参考:人工知能、機械学習、ディープラーニングの違いとは | NVIDIA). http://images.nvidia.com/content/APAC/blog/jp/whats-difference-ai-ml-dlai/Deep_Learning_Icons_R5_LR_JP.png

こちらの画像はAI,機械学習,深層学習の包含関係を示しており,よく用いられる一般的な表現です(下の時間軸も実際にこの通りが通説です).私見ですが,機械学習以内の領域における技術を重要視して開発したり,それ以外のAI領域における一部の技術(アルゴリズム)を前面に,目に見える形で使用したりすると,AIらしさが高まるのだと考えています.

 先に例で挙げた機械翻訳スマートスピーカーは深層学習を基礎技術として使っているのでAIらしさがありますが,AI搭載テレビの類は(その機能にもよりますが)「AIである前に家電である」という印象がAIらしさを抑えているのかもしれません(これも私見です).他にも,ソシャゲの「敵CPUの行動アルゴリズム」を「敵AI」と呼び,「敵AIが賢くて難しい」というような表現を目にしますが,やはり個人的には「それは単にアルゴリズムでしかない」ように感じてしまいます.ただし,このソシャゲの例における「AI」は,便宜的に短縮化して呼んでいるだけという見方もできるでしょう(いちいち「敵CPUの――」と言うよりは「敵AI」と呼ぶ方が手っ取り早いですから).

 結局のところどこまでがAIかという話は,実際のところどこまでも突き詰められません.業務の自動化として RPA (Robotic Process Automation) という言葉がありますが,例えばWEBスクレイピングをして,情報をExcelにまとめるバッチ処理を書いたプログラムはAIと言えるでしょうか.さらに,バッチ処理の中で,Excelから自動的に情報を分類するなどして,サーバにアップロードしてデータベースを整理したり,利用者に結果を通知したりするとAIなのでしょうか.ついには,得られた情報をパターン認識機械学習)によって分類や識別をして,今後の方針まで立ててくれれば,――これはAIと言ってもいいでしょう.繰り返しになりますが,AIであるかは各々の「感覚」によるところが大きいと考えています.

 

マイクロマウスはAIであるか

 あらためて,主題に関して考察します.「マイクロマウスはAIであるか」に関して私の解答は先に述べましたが,皆さんはどうでしょうか.例えば,マイクロマウスを説明する文として,「自律走行型迷路解析ロボット」と表現するとAIらしさを強く感じますか? 一方で,「迷路の壁をセンサで認識して,探索アルゴリズムによってゴールを目指すプログラム」と表現するとAIらしさはあまり感じなくなりますか?

 もしかすると,「AIである前にロボット(という分類)である」という印象があって,マイクロマウスはAIではないと感じている方もいるかもしれません.なお,歴史的には1966 - 1972年のShakey the robotというロボット(参考:シェーキー - Wikipedia)が「AIとロボット」の先駆けとなり,世界的にインパクトを与えたと言われていることを考慮すると,マイクロマウスは「ロボットでありAIである」という視点も可能でしょう.

 考察が取っ散らかってしまうのであまり深入りしませんが,「強いAI」と「弱いAI」という議論も存在します(参考:強いAIと弱いAI - Wikipedia).簡単に説明すると,強いAIは「心(意識や自我)を実現する(アルゴリズムで実現できる)」で,弱いAIは「機械は心を持たない(そこまで追及できない)」という解釈ができます(様々な表現があります).

 ここで,マイクロマウスの迷路探索アルゴリズムにおける,壁に沿って動く「左手法」を例に挙げます.マイクロマウスの代わりに人間がエージェントであるとして,壁沿いに動いていきます.しかし多くの場合,迷路のゴールは浮島のようになっており,アルゴリズムに従ってはゴールできません(弱いAIは想定外の状況に対応できない).このとき,心を持つ人間ならば壁の無い方も攻略しようという発想に至るはずです.他の迷路探索アルゴリズムとして「足立法」もありますが,こちらはそのような状況でも必ずゴールにたどり着くことができます(強いAIは人間をアルゴリズムで模倣する).この例では「マイクロマウスはAIである」という前提で議論していますが,単にAIと言えどその能力の程度は異なりうる,という視点は存在するということです.*4

 このように書いてきて今更ですが,「強いAIと弱いAI」の議論はそんなものではない,という指摘を頂くような気がします(そもそも,それぞれ概念であって,モノを指すわけではない).難しい論争に安易に片足を突っ込むのは避けたいところで,皆さん自身でも調べてみてください.

 

 

おわりに

 ネタから始まって,真面目に終わりましたが,いかがだったでしょうか.「サークルにもっとコミットしていれば幹事長を任せたのになあ」と先輩に言ってもらえたヤツの意地でしょうか,それなりに頑張って書いたつもりです.もしかするとジャッジー君の記事との温度差がとんでもないことになっているかもしれません.その温度差でカゼを引かないようにしてくださいね.この動画が面白いと思ったら高評価ボタンをポチッ,チャンネル登録をお願いします!(ない)

 さて,このブログは WMMC Advent Calendar 2020 - Adventar のために開設しただけのものであり,今後更新していく予定はありません.それに伴い,このブログは検索エンジンには現れないように設定していますので(参考:*5  ),ジャッジー君の記事(リア滅の刃(無限爆破編) - judgeのブログ)に掲載されたような直リンク,あるいは閲覧履歴などからしか参照できないと思われます.

 もしかすると,今後自分のTwitterアカにリンクを掲載して,更新していくこともあるかもしれませんが,仮にそうなっても超低頻度になると思われます.今回初めて経験して分かりましたが,ブログを書くのって大変なんですね…….

 では,これにて自分の研究に戻ります(メリークルシミマス).お付き合いいただき,誠にありがとうございました.

 

【追記】

 ハンドルネームを『スの者』に統一しようと思います.最初は『スのもの』で行こうと考えていましたが,「これではハンドルネームだと分かりづらくて他人が呼びにくい」と感じ,『Mr. ス』とも名乗りました.ただ,これはこれで自らに敬称 (Mr.) を付すのはいかがなものかと思っていたところ,カレンダーの次の記事(タスク管理で頭の中をスッキリさせる話 - sophiaの書)でsophiaさんに「Mr. スさん」と呼ばれ,頭の中の井之頭五郎孤独のグルメ)が「そういうのもあるのか」と気づきました.ということで,呼び名が2つあっても煩わしいでしょうし,あらためて『スの者』として統一してまいります.今後ともよろしくお願いします.(なお,酢の物は特段好きでも嫌いでもありません.)